くりかえしますが、TeXShop に TeX は含まれていません。ですから TeXShop とは別に TeX パッケージをインストールしておく必要があります。英語環境では Gerben Wierda さんによる i-Installer でのインストールが推奨されていますが、日本語による TeX 文書の作成もお望みなら、pTeX を含むパッケージを用いるべきでしょう。pTeX( Publishing TeX )は、横組みだけでなく縦組みの日本語機能も追加した日本語TeX で、アスキーにより作成されました。詳細は http://www.ascii.co.jp/pb/ptex/index.html を参照してください。

上記のウェブサイトでもソースファイルを配布していますが、pTeX 以外にも dvipdfmx や Ghostscript といった関連プログラムをインストールする必要があります。幸いなことに Mac OS X 用にコンパイル済みのバイナリ・パッケージがいくつか配布されており、これらを使うことで、容易にインストールできるようになっています。2006年12月時点で、入手可能なパッケージについて以下に示します。

pTeX(sjis)+JMacros package for Mac OS X(小川版)
http://www2.kumagaku.ac.jp/teacher/herogw/
Big と Small 2つの pTeX パッケージが用意されていますが、Big[180MB]の選択をお勧めします(コンポーネントの要不要の判別がつかない初心者の方も pdftex を必要とする理工系の方も)。これに加えて Ghostscript もダウンロードしてインストールします。更新やバグ修正が早いことに加え、「文系縦組用」に便利なツール類が含まれています。熊本学園大学の小川弘和先生により配布されています。

[改訂第5版]LaTeX2e美文書作成入門
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/bibun5/
三重大学の奥村晴彦先生が書かれた本で、国内の TeX の入門/参考書としては定番のものです。付録 CD-ROM に pTeX と ghostscript のコンパイル済みバイナリ・パッケージが収録されています。

また、この他にも、Fink や MacPorts などの UNIX パッケージ集を使って pTeX をインストールすることができます。pTeX のインストール方法については、以下のサイトを起点にして情報を収集して下さい。

MacWiki
http://macwiki.sourceforge.jp/wiki/index.php/メインページ
http://macwiki.sourceforge.jp/wiki/index.php/TeXShop
Mac OS X上の学術系ツールやオープンソースソフトウェア情報を扱う Wiki サイトです。日本語の TeXShop 情報もこちらに集まっています。

TeXWiki
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/
日本語 TeX 関連の情報を扱う総合 Wiki サイトです。上で紹介した書籍「美文書作成入門」の著者、奥村先生が管理なさっています。


pTeX+TeXShop で日本語TeX文書を作成する際の注意点について述べておかねばなりません。TeXShop には「pdfTeX」 「TeX+Ghostscript」 「パーソナルスクリプト」の3種類のモードがあり、それぞれにタイプセットの方式が異なっています。日本語環境では「TeX+Ghostscript」を使うとよいでしょう。TeX ファイルは pTeX によって dvi ファイルに変換され、さらに dvipdfmx によって pdf ファイルに変換されます。「TeX+Ghostscript」モードで利用できる画像形式は、基本的には eps と ps ですが、dvipdfmx 自体は pdf ・ jpg ・ png ・ mps を扱うことも可能です( jpg ・ png ・ pdf 画像の扱いについては、ヘルプ項目「画像を入れる」を参照してください)。

「TeX+Ghostscript」が+記号で結ばれていることに触れておくべきかもしれません──これはシェルスクリプトにより platex -> dvipdfmx という動作が実行されているにすぎないことを意味しています。つまり、たとえば目次の作成などのように複数回のタイプセットが必要な場合には、いくぶん無駄が生じる、ということです。こうした無駄を省きたいユーザは、platex -> platex -> dvipdfmx というように動作するマクロ・スクリプトを利用することができます。マクロについて詳しく知りたい場合は「マクロ・ヘルプ」をお調べください。

「pdfTeX」モードは、pdftex プログラムを利用して tex ファイルを直接 pdf ファイルに変換します。「TeX+Ghostscript」モードよりも高速にタイプセットを行なうことができます。しかし残念なことに日本語には対応していません──科学系の学術論文など、英文だけを扱う場合に使うと便利でしょう。「pdfTeX」モードでは pdf ・ jpg ・ png ・ mps 形式の画像ファイルを貼り込むことができます。eps や tif といった形式のファイルは、直接は扱えませんが、タイプセット時に自動的に pdf ないしは png 形式に変換する仕組みが用意されています(詳細はヘルプ項目の「画像を入れる」 「画像形式を自動的に変換する」を参照してください)。

以下にそれぞれの違いをまとめておきます。

タイプセットモードpdfTeXTeX+Ghostscript
タイプセット高速やや遅い
日本語不可
画像形式pdf ・ jpg ・ png ・ mpseps ・ ps
mps …… MetaPost 出力の eps 形式

タイプセットモードは メニューバーの「タイプセット」メニューで書類ごとに設定することができます。また、環境設定パネルの「タイプセット > デフォルトのスクリプト」で デフォルトのタイプセットモードを変更することができます。


TeXShop のインストールそのものは、難しいことではありません──「TeXShop の入手とインストール」に詳しいことが書かれていますが、要するにアプリケーション本体を、通常はアプリケーション・フォルダにコピーするだけです。TeXShop と pTeX のインストールは、どちらが先でもかまいません。

これらのパッケージを使って pTeX をインストールした場合、次の「teTeX の入手とインストール」は読み飛ばしてかまいません──TeX はもう既にインストールされていますから。

基本的なヘルプ
pTeX とTeXShop で日本語環境を構築する